お寺での不思議な夜中の住職
私が高校生だった頃の友達の家は檀家で、よく嘘か誠かわからないけれど、「出るんだよ」なんて言っていました。
私は怖いことが見てみたいような年頃だったので、そんな友達の言葉を懐疑的に見ていました。
そんなある日夏休みに入ろうとしていた頃、友達に「何人かでうちに泊まりにくることになってるんだけど、あんたもおいでよ」と言われました。
どうやら本当に友達の家に何かが出るのか、友達グループで確かめにいこうというわけです。
私は反対する理由もありませんでしたし、「いくよ」そう答えて、そして夏休みが数日過ぎた頃、友達の家に泊まりにいく日になりました。
友達の家は檀家といっても、儲かっているのか比較的新しい感じで思い描いていた、いわゆる出るような古めかしい感じではありませんでした。
昼飯、夕飯と頂いて、そして就寝することになったのですが、私のまわりでは「結局ただのお泊まり会だったね」という声がちらほらと聞こえてきました。
良かったような悪かったような、複雑な気持ちでしたけれど、そんな不可思議なことなんて簡単に起きやしないのだと思いました。
深夜二時を過ぎた頃、私はパッと目が覚めました。
トイレに行きたいので、部屋を出て廊下の突き当たりまでいきました。
そのとき、廊下の暗いカーテンの向こうが赤く、丸い形のように揺らめいているように感じました。
寝ぼけてあるのかと思って、目をこすってみたけれどそれはなくなりませんでした。
なので、カーテンの隙間からそっと覗いてみると、お堂のところに細長い枝を持った人が立っていました。
友達の家族なのかもしれないと思ったのは、お寺の住職のような格好をしていたためです。
でも目を疑ったのは、その枝の先は炎が揺らめいて、今にもお寺にそれを放り投げようとしているようでした。
慌てて部屋に戻って友達を揺り動かして、トイレ前の廊下にいくとそこには誰も何もいませんでした。
このお寺の跡取りである友達はいいました。
「昔、おじいちゃんのお兄ちゃんがお寺継ぐのがいやだから寺で焼身自殺したんだ。それ以来、そんな話したまに聞くけど」
私が見たのは何だったのでしょうか。
もしかして、と思うたびに今でも寒気がしてたまらないのです。
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