横断歩道にたたずむ少年

私の家の近所に年の近いいとこが住んでいるのですが、このいとこは昔から霊感が強く、いわゆる見える人です。正直、霊なんて信じていなかった私ですが、いとこと二人でアレを見てしまったことで例というもの信じるようになりました。これは、私がお盆にお墓参りに行った帰りに見てしまったアレの話です。私といとこは忙しい互いの両親に代わり、二人でお墓参りをしにドライブに行きました。お墓参りを終えたのは夕方の6時頃で辺りはもう薄ぼんやりとしていました。家路に帰ろうとしましたが、お盆ということもあって、どこの道路も渋滞していました。そのため、いとこと「どこも混んでいるから、裏道使おうか」と裏道を使うことに。
裏道というだけあって、街灯も少なくいかにも出そうという道を通ると、交差点に出ました。この交差点、街灯があるにも関わらずなんとなく暗いんです、雰囲気が。カラスがカーカーと泣くような野良猫が唸るような不気味な声も響いていました。早くここから出たいなあと思っていた矢先に、信号に捕まってしまいました。うわぁ、ついてないと思いながら、辺りを見渡すと横断歩道の近くにお堂があって花が供えられていました。近くに野良猫の死骸も見えたので、不気味な鳴き声は野良猫かな?と首をかしげているとあることに気づきました。いつも、おしゃべりなはずのいとこが喋らないんです、一言も。どうしたんだろうと運転手側を覗きました。すると、いとこが
「見るな!」
と大きく叫びます。しかし、その叫びは無駄に終わりました。見てしまったんです。
唸るような声で泣いている、顔がぐちゃぐちゃの男の子が窓の外に立っているのを。
驚き、目をつむった瞬間、車が動き出しました。いとこは、
「お前も見えたのか?」と聞きました。私は静かに頷きました。
あとで調べてみると、その横断歩道では原因不明の事故が多発しており、お堂も事故の死亡者を供養する目的で建てられたそうです。