白魔術の歴史について

古代から現代まで続く、自然の魂を利用する呪術

白魔術については諸説ありますが、ボルタという哲学者の説によると、紀元前6世紀頃、古代ペルシャには既にあったとされています。
古代エジプト文明の頃、黒魔術との区別がなされました。
悪魔や悪霊の力を借りて願いを叶えるのが黒魔術とされ、対して白魔術は神や聖霊、天使、妖精の力を借りるものとされました。
宇宙やすべての自然の生命体、また聖霊や神の力を引き出して願いを叶える魔術全般が白魔術とされ、この中には占星術や錬金術も白魔術に含まれます。

古代文明の王族や権力者達は白魔術師と黒魔術師の双方を雇い、目的に応じて両方の魔術を使い分けたと言います。

すなわち、敵を黒魔術で呪い、幸運を呼び込む為に白魔術を用いていたようです。

白魔術は14~16世紀のルネッサンス期にヨーロッパを中心に、次第に全世界に広まっていきました。

白魔術に自然科学や自然現象、哲学を取り込んだのが「ヘルメス文書」です。
「ヘルメス文書」とは、ヘルメス・トリスメギストスが著したとされる神秘主義的な古代思想の文献の総称です。
内容は複雑ですが、中に占星術や太陽崇拝等も含まれています。
また、ヘルメスの言葉を刻んだエメラルド性のタブレットが存在し、そこには世界の誕生についてや万物の生成についての秘密が書かれています。
また、17世紀の版画には彼の言葉の全文が刻まれており、そこには
「万物はひとつのものから出来ていて、すべては同じ自然現象によって関連している」
と書かれています。

この「ヘルメス文書」が、白魔術に論理性を持たせ、理論的で系統的な基礎をもたらしたとされます。
そして、エルメス文書の影響を受けた白魔術が自然魔術と呼ばれるようになり、運気と幸せや富をもたらす魔術として現代まで世界中で用いられるようになりました。

白魔術にはおまじないによる呪術と、召喚魔術による本格的な呪術があります。
おなじないでは、自分と相手、双方に幸わせをもたらす方法です。
運命の男性と出会いたいとか、結婚したい、お金持ちになりたい、病気を治したいといった願いを叶える為に行うもので、負の要素を持つ相手を退け、正の要素を持つ味方に益することで自分に幸運をもたらしてくれる方法です。
これは自宅で自分で行うことも出来ます。

召喚系の場合はもっと高度で、白魔術師に依頼し、聖霊や天使を召喚し願いを叶えてくれるように儀式を行います。
魔法円、聖水、香料、法衣といった道具を使い、方位や日時も考慮して行ないます。

日本における白魔術は、古代中国から渡ってきたとされています。
雨乞い、五穀豊穣、疫病退散等を祈願する呪術として浸透していいったようです。
それが日本独自に変化したものが神社のおみくじ、お守り、絵馬等です。
現在では、パワーストーンを身に付けたり、自宅で出来る「おまじないセット」を購入したりする形もあります。
また、ゲームにも白魔術師が登場するものもあり、正義のパワーとしての働きをします。

このように白魔術は自然界に存在するものの魂の力を借りて、願いを叶えてもらったり幸せを呼び込んだりするものです。
太古の昔、人間が自然を恐れ敬ってきた気持ちが、自然と魔術と言う形になっていったものと思われます。
現在でも多くの白魔術師が存在し、恋愛専門や金運専門といったように、人々の願いの種類に応じてそれだけの魔術師がいます。
そして、これからも人間の願望に合わせて白魔術もまた変化、成長していくものと思われます。