真夜中のドライブで見たものは幽霊だったの?

あれは二年ほど前のことです。
当時私は高校を卒業した直後で、免許を取りたてで車を購入した友人に誘われてドライブへと行くことになったのです。
車を購入した友人、そして私ともう一人別の友人の三人で、ごく普通にドライブへと出発しました。

ドライブに出かけたのはまだ明るい時間だったのですが、あちこち気の向くままに車を走らせていると徐々にあたりは薄暗くなってきて、気がつくと夜の九時を過ぎていました。
途中夕食を済ませ、友人たちと話しをしているうちに、出ると噂になっているトンネルへ行ってみようかということになりました。
いわゆる心霊スポットというやつです。

そうして車を走らせ山の中ほどにあるトンネルへと到着しました。
それから車をトンネルの中へと走らせていくと、まず車内で鳴っていたラジオがピタッと止まりました。
たちまち車内は無音です。

次にハンドルを握っていた友人の体が震えだしました。
そこで慌ててトンネルから出て、とにかく山を降り明るい場所へ行こうということになったのです。

ところがなぜか行けども行けども山から出られませんでした。
もちろん帰り道はわかっているのです。
そしてその通り進んでいるはずなのです。
でも出られない、行けども行けどもトンネルが見える範囲でしか車を走らせることができない……
焦りました。
私はそれまで霊現象などまったく信じてはいなかったのですから、こんなはずはないとハンドルを握る占い師や友人をせかし、あれこれ指示しながら何度も何度も同じ道を走ったのです。

結局山を降りることができた時には、夜中の三時を過ぎていました。
もちろんいまだになぜ山で迷ったのか、またなぜ三時をすぎたタイミングで山を降りることができたのかはわかりません。

そうしてなんとか明るいところまで出て、車内から外へ出てみると、車のボンネットには真っ赤な布切れが一つ落ちていました。
そしてその布切れには長い髪の毛がこれでもかと絡まっていたのです。

その真っ赤な布切れはすぐにその場で捨てましたが、ボンネットの隙間にも絡まってた長い髪の毛は誰も触る気に離れず、友人の車はそのまま洗車へ持っていったのでした。