人類と共に有り、今後も未来永劫関わる呪術という存在

マンガやゲームの中ではお馴染みとなっている呪術。
ファンタジーな出来事かと思われますが、実はその歴史というのは非常に古く、有史以前から人類と共に有ったという強く根付いた概念であることは間違い有りません。
日本に限って言っても、遙か昔邪馬台国の卑弥呼が呪術を持ってして国の統治をしていたとされることは広く知られていますし、さらにその以前からも呪術を用いていたことは用意に予想が出来ます。
世界に視野を広げてみれば、それこそ古代の四大文明以前よりも呪術というのは使われていた痕跡が残っているのです。
科学が発達した現代でも、昔ほどではありませんが呪術というのは根強く生き残っていて、それを信じる・実行するといった人は存在しています。

呪術を広義的に見れば「超常の存在から力を借りて、神託や預言などの人知を超えた現象を起こすこと」と言えますが、呪術というと一般的に想像されるのは「相手を呪い殺す」といった恐ろしいものです。
呪術というのはそういった恐ろしい面だけを持っているわけではありません。
呪術は、人を殺すことだけではなく生かすことにも用いられています。
例えば、東南アジアには今でも地域に根付いたシャーマンという人を見ることが出来ます。
シャーマンというのは土着信仰において、神や精霊といった超常の存在と交信が出来る人たちと言われていて、そういった方々がそのような超常の存在の力を借りて呪術を行い、病気の人を癒したりするのです。
科学的にみればあまり効果があるとは言い難いことでも、「病は気から」とも言うように治ってしまうことも多々あるようです。
同様に、アフリカの方ではウィッチ・ドクターと呼ばれる呪術医が現存しています。

世界の歴史を見ても判るとおり、呪術というのは人間が進化して集団生活を行うにあたっては必要不可欠な面があります。
科学的に見れば全く意味の無い行為であり、その関連性を見つけ出すことは難しいのが現実です。
日本の呪殺の代名詞ともなっているわら人形に釘を打ち付ける行為であっても、別に呪われる当人に危害が加わるわけではなく、全く意味の無い行為です。
雨乞いの儀式にしても、方法は様々ですが人間が数人集まった所で天候に影響を与える何かを成すことは出来ませんし、生け贄という方法が採られた所で何の効果も無いことは現代では当たり前のことです。
しかし、昔の人間というのは現代人のように知識が豊富ではありませんでしたから、「自分達の知らない原因不明なことは超常の存在が関係している」という風に考えました。
そして、その超常の存在から力を借りて行う呪術は、不可知の様々な現象からの不安や恐怖、怒りや憎しみといった負の感情を抑えるための抑止力として存在することになったというわけです。

現在では科学が発展し、インターネットを介して様々な情報が手に入るようになりましたが、それでも呪術が完全に消えてしまうということはありません。
何故かというと、全ての国に宗教という存在があるからです。
日本では神道、アメリカやヨーロッパではキリスト教、中東ではイスラム教に、東南アジアでは仏教やヒンドゥー教といった様々な宗教があります。
どの国でも国の根幹とも言えるのが宗教ですから、それとは切っても切れない関係である呪術は、もう人間からは外すことの出来ない物となっているのです。