下北半島の恐山の霊媒師たち

下北半島の恐山の霊媒師たち、

以前に、今となっては何となく悔やまれる事態になってしまったが、普段はあまり旅行などにも行かない信仰心の強い母が、恐山へは一回だけでも行って見たいと言っていたのを思い出します。 その母も三界の人となってしまいましたが。

先般縁あって、その下北の恐山に行く機会があり、訪ねて見ました
車で近づくと、既に門前には広大な駐車場があり、週末の土曜日でもあったが早朝のせいか未だ人影もありませんで、門前の受付へ行くと開門は午前8時と記してあり真ました。

門を入ると、早速ながらそこに見えるのは物凄く荒涼とし殺伐とした風景が広がっていました。 まるで地獄の様相です。 ゴツゴツシした岩肌には無数の無縁塔や霊石等、それに見た通りのに地獄谷や血の池地獄、それに混じって観音御堂や開祖の慈覚大師(円仁)の像が祭られています。 確かに、この異様な風景は地獄に値する正に霊界そのものなのです。

霊場恐山を開いたのは、比叡山の開祖・最澄の弟子のあたる慈覚大師であり、その円仁が夢で「汝、東方の地にゆかば霊山あり、其処に地蔵尊一体を刻して仏道を広めよ」というお告げを受けたという。
元より、下北地方には大漁や五穀豊穣などの現世の利益を願う「地蔵講」という習わしがあり、古来より地蔵菩薩を信仰しながら死者への供養の場としても知られるのです。
特に、下北地方では「人死ねば みんな山(恐山)さ行ぐだ」と言い伝えがあるそうです。

この恐山には、最大のお祭である恐山秋詣りというのがあり、参道にはイタコマチと言って、イタコたちがテントで軒を並べ、そこへ多くの参拝人が並びイタコの口寄せを聞くという。 勿論、イタコというのは津軽や南部地方(岩手県北部)の巫女の総称であり、現世の人の願いに応じて死者の霊魂を呼び寄せ、その言葉を人に伝える、即ち、霊媒者のことなのです。
そして昨今の世の中を反映してか、イタコに口寄せを願う人が殺到するほど集まり、まるで予約でもしないと叶わないともされています。

さて、この「イタコ」とは全国的にも通用する、神の霊や人の魂などを地上に降ろす「霊媒師」のことなのです。 事実、イタコには長い歴史の中に連綿と続いていて、今なお日本の伝統霊媒術を継承するイタコ達が厳然と存在していりのです。
そして、イタコの能力的に最も知られているのが「口寄せ」といわれる降霊術、即ち、神を含めて死人や又、生きている人などあらゆる対象となる霊能を降ろし、そして本心を聞き出しながら予知や予言の行いをするのです。

そして、前述しているイタコは青森・下北半島の恐山が良く知られているのです。
先ず、「恐」と言う名前からしてオドロオドロしい感じがするもので、何やら人を寄せ付けない恐ろしい雰囲気が漂います。
現に昔から恐山の話をする時かは、「あの世の入口」、「死者の魂の群れる場所」、「霊感が強くなる聖地、霊地」、そして、現代流のパワースポットでもあります。 しかも恐山は日本国内でも最大のパワースポットとも言われているのです。

そして、「イタコ」を職業としての名称は霊媒師になります。
霊媒とは即ち、霊界から死者の霊や、或いは現存人の人の魂を呼び寄せたり、降霊させ、自分の身に憑依(ひょうい・霊などが乗り移ること、降霊、神懸り)させることなのです。

宗教学では、霊媒師の霊力は或る種の霊力が憑依して人間の精神状態や運命に劇的な影響を与えるとされていて、そして、恐山はその霊界との入口にあたり、イタコにとって最もその霊能力が発揮される場所とも言えるのです。